この話は、イギリスと日本のまぜまぜ国だと思ってください。

一応表記は英国となってますが管理人、正直知識さっぱりなんで適当です。





今の生活は言うなれば温室ハウスの中。

馬鹿にお金のかかる快適な暮らし。

雨も降らなければ紫外線とも無縁の殻の中の暮らし。

ビーチサンダルというものを履いたことがない。

というよりもスニーカーというものを履いたことがない。

毛足の長い絨毯にフカフカのクッション。

頼めばいつでも鼻孔をくすぐる極上のお茶とお菓子の登場。

頭から足の爪先まで肌に抵抗を感じさせない上等の布のオーダーメイド。

勉強については優しい隣人の博士が頭を撫でながら教えてくれた。

誰も私を傷つけない、傷つけれない。

私は生を受けた者なのに、

太陽の下で汗を掻いたことがなかった。



家なき子




『博士、今日は物理学の勉強だけれど私とっても気になることがあるの』

『なんじゃね?言って御覧なさい』

少女は持っていた羽ペンをクルクルと弄ったりして問うてみた。

『今は豊かな英国のはずでしょう?なのにどうしてスラムというものがあるのかしら?』

『どうしてそんなことを思うんじゃね?』

老人は戸惑った。

なぜなら少女は幼いというのもあるのだが貴族なのだ。

貴族は普通、そんな下町のことなど気にかけない。

『だって新聞に書いてあったわ。スラムの状態が近年深刻になってきているって。』

『また新聞など読みおったのか?ご両親にとめられておるじゃろう?』

『それはお父様の勝手だわ。私、もっと世界の色んな事を知りたいのだもの』

少女は以前こっぴどく父親に叱られたのを思い出したのか薔薇のように色づく頬をぷぅと膨らませてみた。

父は勝手なのだ、自分は世界中を飛び回ってあらゆることに精通しているのに娘をちっとも外に出させない。

母もまた父について行っているので然り。

とんだ両親だと思う。娘を放りっぱなしなのだ。

少女は柔らかいクッションが敷き詰められたソファに軽い体を沈めて博士を見た。

『私ずっと思っていたの。』

少女の蒼い、聡明な瞳がキラリと光った。いや、睨まれたような気がする。

ついでに唇が不敵な形になっているのは気のせいではないような気がしないでもない。

脚など貴族の少女であろう事がなんと組まれているのだ。

どうしたのだろう、額から流れ出る脂汗を止められない。

なんだか胃もキリキリと絞られるかのように痛くなってきた。

稀に少女はこんな態度をとる。

それはキツク叱った父親に反撃する時だ。

そう、反撃するのだ。

あぁ、自分はこの少女の両親からこの子を任せられているのに。

でも止められない。

止められないったら止められない。

この齢7歳という少女の今度の目論見というのは−−−−−





『家出するわ、家なき子になって自分で生きるのよ』